自動巻の巻き上げ機構について

2017.02.11

表紙画像

機械式腕時計が世に出始めた頃は、毎朝手動でゼンマイを巻き上げて時刻を会わせる・・・というのが当然の使い方でした。しかし現在は一部のモデルを除き、自動巻きという機構が備わっているのが普通になっています。

 

 

今回は、とっても細かなことですが自動巻の巻き上げ機構の種類について書いてみたいと思います。

自動巻を簡単に説明すると・・・リュウズを使って手動でゼンマイを巻くという操作を、自動?で行ってしまうという機構です。

 

写真中のローター(扇子を開いたような扇型の部品)が、腕の動きに合わせて両方向に回転します。その回転を利用してゼンマイを巻き上げます。巻き上げには「片巻き(1つの方向は空回り)」と「両巻き」があるのですが、片巻きは機構が単純な代わりに巻き上げの効率が悪くなってしまいます。そういった理由で、それなりの機種には両巻きの機構が備わっています。

 

ちょっと考えてみて下さい!両方向の回転を1つの方向の回転に変換する仕組みはどうなっているのでしょうか?

 

両巻きの回転方向変換の機構は「切り替え車式」と「マジックレバー式」の2種類あります。

「切り替え車式」は幾つもの歯車を複雑に組み合わせて、両方向の回転を1つの方向に変換するという仕組みです。歯車の部品数が多くなるため機械自体の厚みが増してしまうという欠点もありますが、効率よく巻き上げることが出来る機構です。

「マジックレバー式」は・・・言葉での説明が難しいためセイコーのカタログの言葉を拝借します。

画像のような特殊な形状をしていて向きの異なる2つの爪を持つマジックレバーにより、ローターからの回転運動を往復運動に変換し、更に一方向だけの回転運動に変換します。この機構を図で見る限りは単純に思えてしまうのですが、マジックレバーの2又の角度や爪の角度・形状等をしっかり設計しないと「巻き上がったらラッキー」なんてことになりかねません。

マジックレバー仕組み

ちなみに、冒頭の写真も含めセイコープレサージュとグランドセイコーのスプリングドライブはこの機構により巻き上げを行っています。

巻き上げ機構の種類までを紹介文や説明書に記載するモデル・ブランドは多くはありませんが、私はこういう細かい事が結構好きです。気になったことを深く調べてみようとすると、あまりの難しさにお手上げになることがあります。なので何か面白いことを見つけたら、浅く広く調べて紹介したいと思います。

 

最後に、止まってしまった自動巻の時計使用する時、時計を振って動き出したらすぐに時刻合わせをして身に着けるという方が多いかと思います。身に着けていれば巻き上げてくれるので問題はないのですが、パワー不足で時間が合わないということもあるので、手動でリュウズを10回ほど回してゼンマイを巻いてから身に着けた方がより正確に時計は動きます。

パワー不足を他に例えると・・・オルゴールと同じです。ゼンマイをいっぱい巻いたオルゴールは旋律通りなりますが、ゼンマイの力が無くなってくると音楽のテンポがとても遅くなってしまいます。時計とオルゴール、全く異なる物ではありますが動力は同じゼンマイなのでパワー不足の症状としては同じことが言えます。

 

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画像協力 富士店スタッフ「Tチダ」

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